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優しさ
メンドーサは治安があまり良くないということは噂で聞き知っていた。
それを実を以って知ったのが1月27日の午後のこと。

竜ちゃんと宿近くを歩いていたらベルギー人のおじさんに声をかけられた。
最初は「いつこの街に来たのか?」など旅行者が交わす普通の会話から始まったのだが、おじさんが突然「僕はこの街が嫌いだ!」とのたまう。
見ると彼のズボンのファスナーは無残にもざっくりと切られて、マネーベルトの中のカード、現金、パスポート、更にはザック&サブザックまでも盗られたという。
しかもそれはつい先ほどのことらしい。

すべてを失ってしまったおじさんは落ち着きをなくし、途方に暮れているようだった。
警察も親身になってくれず、ベルギー大使館は遥か1,000km以上も離れたブエノスアイレスだ。そこまで一番安いバスで80ペソ、深夜12時発の便があるらしい。

竜ちゃんは80ペソあげようか?と私に問う。
でも、私はもしかするとこれは演技で新手の詐欺かもしれぬと思った。
でも、もし本当ならば同じ旅行者として見殺しにすることはできない。

そのおじさんはとりあえずセントロ(市中心部)に行ってベルギー人を探したいと言っていたので、セントロでひとまず座ってお茶でも飲んで軽食が食べれて…と、落ち着いて自分の身の振り方を考えられるであろう金額30ペソをあげた。

そしてセントロでベルギー人に出会えなければ、私達が泊まっている宿に来てくださいと言って、宿名・住所・電話番号がかかれた地図を渡した。もし来てくれればバス代は私達がもつことも言い添えて、そのおじさんと別れた。

でも、おじさんは来なかった。

おじさんと別れてから、色々考えていたのだが、ハッと気付いてシマッタ!と思った
ことがある。
「私はあなたと今日会ったばかりで100%話を信用できない」と言ってしまったのだ。
本当に本当に余計な一言だったと思う。聞いた本人はどんな気持ちだったろう。

私達の行為は間違っていないと思う。
でも、私の発したこの一言は悔やんでも悔やみきれない。
そして、一昨日竜ちゃんがサブザックを盗まれて、その気持ちは確固たるものに変わった。
被害にあって打ちひしがれている人に、そんな冷たい一言は言うものではない。

私の言動は一見親切なように見えて、おじさんを逆に深く傷つけてしまったのだと
思った。うわべだけの親切や優しさを装うことはたやすいことだ。
でも、その人の立場になって考えるというのは本当に難しい。

もちろん、おじさんの話が嘘か誠か?という疑問はくすぶっているけれど…。
でも、今の私はおじさんの話は本当だったと思っている。
おじさんの目や、とめどなく流れる汗や、小刻みに震える手がそれを証明していたと
思う。

それを信じてあげることができなかった私の心の狭さ。
そしてそれを口に出してしまった私の愚かさ、浅はかさ。

今、私ができることは2つ。
おじさんの無事と幸運を祈ること。
そしてこの出来事から何かを学び取ること。

by ひろこ
2009/02/01(Sun) | 19.アルゼンチン | トラックバック(-) | コメント(-) | page top↑
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